昭和世代のつぶやき

祖父「犬飼哲夫」のこと

昭和世代のつぶやき
DSC_2487

追記(2023年10月)
北海道、東北の各地で熊の被害が報告されています。

戦後の北海道における環境保護の変遷を担ってきた祖父・犬飼哲夫は、ヒグマの被害が大きかった昭和中期までは熊の駆除と個体数削減を提唱していたけれど、晩年、共生が実現した昭和末期は春熊駆除の停止と保護を訴えていました。

自然や動物を愛していたからこそ自ら山にこもり、ヒグマの生態を研究していた祖父は、その恐ろしさを誰よりも知っていました。
猛獣との共存はいつの時代も難しいものがあるけれど、環境が激変して被害が拡大している今また、人間は脅威であるということを示していかなければいけなくなってしまったのが残念でたまらないです。


数年前に実家を売却した際、小さい頃から身近にあった「マッコウクジラの歯」が出てきました。


動物学者であった祖父が研究材料として北海道大学農学部で使っていたものと思われ、自宅に持ち帰ってきたのですが、その2時間後、なんと、祖父と研究を共にしたという方から突然電話がきたのです。
「貴重なマッコウクジラの歯がご実家にあると思うので、くれぐれも捨てたりしないように」と。
ちなみに電話には私ではなく家族の者が出たので、お名前は憶えていないとのこと。

ええ~~~(@_@)??
我々が持ち帰ったのを見ていたんかい??と言いたくなるような、神がかったタイミングでした。
実家(犬飼哲夫の3女であった母の家)を売却するという話は当時親戚にも話していなかったことだし、大学関係者の方の中で、孫である私の家の電話番号を知っている人はいないはず。
不思議なこともあるもんです。

祖父が「たまには自分のことを思いだせよ」と言っているような気がして、思わず著書などを引っ張りだして、パラパラと読み直したりしてみました。
思い出しがてら、大好きだった祖父の紹介をしておきます。
犬飼哲夫 Wikipedeia

祖父・犬飼哲夫は、明治30年生まれ。
開拓前の、原始の北海道、樺太に自ら飛び込み、野生動物の研究に力を注いだ人でした。
屈強な体力を生かして、山ごもりをして北方動物の生態を観察し、時には自然と共存しているアイヌ民族と生活を共にした、学者というよりは「野生児」です(笑)。
第1次南極観測隊のカラフト犬、タロとジロの育ての親でもありました。

樺太犬タロとのツーショット

専門分野の研究論文は難しくて読む気がしないけど、晩年に研究の合間の余談をまとめた「わが動物記」は、山ごもりの冒険談などもあり、読み物としてもむっちゃおもしろいです。

憧れの北海道の大自然を駆け巡り、大好きな研究に没頭した人生、きっと思い残すことはなかっただろうなあ。
祖父は私が中学生の頃に亡くなったけれど、大人になり、歳を重ねるごとに、もっともっと色々な話を聞きたかったなあ…と思います。
というか、じーちゃんの動物記の編集、私がやりたかった~~(笑)。

じーちゃん、ちゃんと思いだしたよ。
時々思い出すためにも、マッコウクジラの歯、とっておくからね。
ちなみにこの歯は私が持っていていいものなのか不明なのですが、叔母たち(犬飼哲夫の長女・次女)に聞いてもよくわからず。
万が一お電話の主がこの記事をご覧になりましたらコメントかお問い合わせ欄からご連絡くださいませ。

コメント

タイトルとURLをコピーしました