「富士山の裾野にある鍾乳洞に行ってみない?」と、植物を愛するアーティスト、長女・SAKIからのお誘いがあり。
富士山の鍾乳洞といえば氷穴で有名な「富岳風穴」かと思いきや、なんでも御殿場側の裾野に人の体内のような形状の熔岩隧道があるのだとか。
「なに、そのオモシロそうなところ?!」とうっかり誘いに乗ったところ、これが想像以上にキョーレツな場所だったのです。
非日常体験をしたい人にはおすすめですが、這いつくばって服が汚れたり、ましてやコウモリに襲撃されるなんてゴメンだという人は、悪いことは言いません、この記事の写真だけでガマンしときましょう(-_-)/。
「いや、私はぜひ行ってみたい!」という変人の貴方、その心意気は同じ変人として共感しますが、少なくともサンダルやスカートで行ける場所ではない、とだけ言っておきます。
というわけで、変人母娘が目指した洞窟は、富士山・印野の熔岩隧道「御胎内」。
横浜市都筑区からのアクセスは、初めて東名高速道路の高速バスを利用してみることに。日帰り旅行にはちょうどいい距離です。
「東名江田」バス停
⇩ 東名高速バス 70分
「JR御殿場駅」バス停
⇩ 市営バス 20分
「富士山樹空の森」バス停
⇩ 徒歩 約20分
「富士山御胎内清宏公園」
Photo by SAKI & MEGUMI
※無断転載ご遠慮下さい
東名高速道路・高速バス「東名江田」~「JR御殿場駅」
「東名江田」バス停~「JR御殿場駅」バス停までは、高速バスだと片道1300円、渋滞がなければなんと70分。自分で運転することは極力避けたい風月にとって、これは目からウロコの交通手段でした。
ただ、東名ハイウェイバスは、JRや小田急など色々な運行会社が乗り入れているので、路線はややこしいです。
高速バスネットで検索して、今回は小田急ハイウェイバスを利用。平日で空いていたけれど、念のため前日にスマホから席の予約をしておきました。予約時点で支払いも完了するので、当日は乗車時に予約の画面を見せればOK。



長距離バスなので車内は快適、トイレもありました。

御殿場駅から「樹空の森」までは、市営バスで20分。市営バスのバス停は、高速バスの発着所と駅をはさんで反対側にあります。
本数が少ないので(ビックリするくらい少ない!)時刻表をしっかり確認していこう。
https://otainai-onsen.gr.jp/guide/
この市営バスで忘れられない旅の出会いがありました!
同じ「樹空の森」バス停で降りた年配のご夫婦が「帰りはバス停の場所が変わるから気をつけてね」と教えてくれていたのですが、帰りの最終バスの時間になかなか現れない私たちを心配して、近くを探してくれていたのです(T_T)。

帰りのバスの短い時間でお互いの家族の話をして、最後にSAKIに「お母さんと楽しい思い出をたくさん作ってね」と声をかけて降りて行ったご夫婦。
私がシングルマザーだということを受け止めての言葉があまりに温かく、泣きそうになりました(T_T)。田舎のおじいちゃん、おばあちゃんに会いに行くのって、こんな感じなのかなあ。
ありがとうございました。お二人とも、いつまでもお元気でお過ごしくださいね。
目指す御胎内洞窟は、バス停がある「樹空の森」に隣接している「富士山御胎内清宏園」にあります。
この辺り一帯の5つの施設を総称して御殿場リゾート「富士の郷」と総称されているのだが、ちょっとややこしいので、パンフレットを掲載させてもらいます。

樹空の森
樹空の森HP
「樹空の森」は、アスレチック、ローズガーデン、温泉施設、パークゴルフ場などがそろう複合大型レジャー施設。近隣には自衛隊の「東富士演習場」があるので、途切れることなく発砲音が響き、近隣道路では何度か迷彩のジープとすれ違いました。ということもあり、「樹空の森」は自衛隊との地域交流や相互理解を図る役割も担っています。












隣接している「富士山御胎内清宏園」へは、「樹空の森」から一度公道へ出て徒歩10分ほど。それぞれ広い無料駐車場があるので、車での移動も簡単です。
富士山御胎内清宏園
富士山御胎内清宏園
西暦400年代の富士山噴火の溶岩地帯の上に、永い年月を経てできた森林公園。溶岩樹形、胎内神社、御胎内隧道、バーべキュー場等が点在しており、御殿場市指定の「野鳥の森」でもあります。




パンフレットによると、この「安産夫婦岩」の奥に「池」やら「穴」やらがあるようなので、うっそうと茂る藪の中へ入ってみました。






森の奥の藪散策はここで限界。蜂に追われ、整備された遊歩道へと走って戻りました~。

ほどなく、目的の胎内神社・溶岩隧道「御胎内」の赤い鳥居が見えてきました!


本日の目的地 印野の溶岩隧道「御胎内」の入り口は、お宮の脇にあります。


「胎内神社」は安産祈願の神社ですが、妊婦さんは間違っても洞窟へ入ってはいけません(-_-)/!
ほぼ前屈の状態で、場所によっては匍匐前進。固くとがった岩にアタマをゴンゴンぶつけます。コウモリが飛んでくるけど逃げ場はなく。これは一体何の修行だ?!
ここで「ヘッドライト付きヘルメット(入口で貸りたもの)」「アームカバー」「指先フリーの軍手」「レインウエアのパンツ」を装着して、準備終了。風月はさらに小型の懐中電灯も装備。
以下、濡れた岩場に足を取られながらも、スマホカメラを離さず撮り続けた母娘の渾身のショットをお楽しみください。



















約25分の洞窟探検、無事生還~!…と思いきや、「写真に撮れなかった場所がある」と、なんと再び単身で洞窟へ引き返して行った爆弾ムスメ・SAKI。数分後、「ぎゃーーーー!」という雄叫びと共に入口から飛び出してくる羽目に。今度はコウモリに顔面を襲われたらしい。だからやめとけって言うたやんけ(-_-;)。
なにはともあれ、本日のメインイベント達成!
途方もない達成感を味わった後、ぼーっとしながら再び公園の散策へ戻ります。






園内を一周した頃にはお昼もまわっていたので、樹空の森「パークゴルフ場」の入り口前にあるお蕎麦屋さんに向かいます。お腹すいた~!
そば処「たくみの郷」・旧石田家住宅
そば処「たくみの郷」
名物「みくりやそば」は、麺に山芋や自然薯を擦り込み、鳥で出汁をとった、御殿場地方に昔から伝わる伝統料理。
「たくみの郷」では手打ちの「みくりやそば」がいただけちゃいます。




「たくみの郷」に隣接している古民家は、御殿場市指定文化財「旧石田家住宅」。御殿場地方を代表する間取りが見られる、江戸時代からの農家なのだそう。




さて、お腹も満足したところで、本日のシメの温泉へ!
あまりにも幸せすぎる行程だな。
「御胎内温泉」健康センター
「御胎内温泉」健康センター
富士山のふもとに湧き出たアルカリ性単純温泉。JR御殿場駅からバスで20分の場所にあるので、地元の人の憩いの場にもなっています。
内風呂・露店風呂・富士溶岩風呂・サウナ・売店・休憩所等ひと通りそろっています。タオル・館内着はレンタル。レストランは夕方休店する時間があるので要チェック。

露天風呂から富士山が望めるそうなのだが、この日は曇っていて残念ながら見れませんでした。そういえば、ここは富士山のふもとだったのだな(^^;。
温泉の休憩所でのんびり疲れをとったところで、17:33の最終バスまで少し時間が余ったので、ビジターセンターから徒歩20分程の場所にある「印野の溶岩隧道」まで足を伸ばしてみることに。
スポーツ公園「丸尾パーク」の裏側にあり、徒歩だとちょっと距離があるけれど、ここ、意外な穴場でしたヨ。
印野の丸尾熔岩隧道

印野の丸尾熔岩隧道
御胎内の溶岩洞窟と合わせて1927年に国の天然記念物に指定された溶岩隧道。西暦400~500年頃、赤塚・馬ノ頭付近から流れ出た「印野丸尾溶岩流」の流れがここで止まったのだそう。

要所に博物館のような詳しい説明書きの看板があるので、西暦400年代の富士山噴火に思い馳せることができました。






印野の丸尾熔岩隧道は、公道沿いとはいえ人気のない森林の一角にあり、徒歩で行くには少し怖かったかな。広い駐車場があるので車での旅ならぜひ寄ってみて。
さて、バス旅だった風月母娘は、最終バスを逃すとタクシーを呼ぶしかなくなるので、急いでビジターセンターのバス停に戻ります。
そこで心配して私たちを探しながら待っていてくれたのが、朝のバスで一緒になったご夫婦。なんだか本当に実家に帰ってきたような温かい気持ちになりました。
忘れられない旅の思い出は、いつでも「人」と共にあります。
誘ってくれた娘にも感謝。
無茶苦茶濃い、充実した日帰り旅行となりました。ありがとう。
~ 本屋さんで見つけたおすすめ旅雑誌 ~
「自然を満喫 森さんぽ」首都圏版 ぴあMOOK
(2023/7発行)
登山というほどではないけど、森の散策を楽しみたい方におすすめです。「富士山御胎内」は載っていないけど、首都圏内の洞窟も掲載されています。なんといっても写真がキレイ!

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