ライターを生業としている人間として、ジャニーズ性加害に関わる記者会見(2023/10/2)で一番切なかったのが、同事務所のタレントが被害を受けていることを「見て見ぬふりをしていた」と認めた上での東山紀之氏の言葉だ。
「勇気を出して声をあげていれば今自分はここにいなかっただろう」
いや、ライターとしてではなく、子を持つ一人の親として心に刺さったのだ。
学校では「いじめられているのを見て見ぬふりをしている人もいじめをしているのと同じ」とよく言われる。
けれど、そこで正義感をふりかざせば自分も標的になるのだ。
被害者とその周りの見ている子どもができることは、大人にSOSを出すことだけ。
そしてそれを知った大人が何の対応もせず、「言いつけた」ことがばれたら、さらにひどい仕返しが待っている。
虐待も同じこと。虐待されているのを見ている子どもも被害者だ。
いじめや虐待の被害者が子どもである場合、見て見ぬふりをして責められるべきは、周りをとりまく大人たちだ。
今回最悪なことは、加害者と、それをよく知っていた大人が亡くなってから問題が表面化したことだ。
そしてなぜか、本来被害者のひとりであるタレントや、毒親の被害を受けてきた親族が「見て見ぬふりをしてきたこと」の責任を背負っている。
では、声をあげた被害者たちが世間から「見て見ぬふり」をされ、圧倒的な権力で潰されていくのを見ていた彼らに一体何ができたのか。
責任を負うべきは、子どもの頃から洗脳されてきた被害者のタレントではなく、加害者に忖度して「見て見ぬふり」をしてきたマスコミや企業だ。
それを棚にあげ、「見て見ぬふり」をしていたことを責める一部のマスコミには、恥を知ってほしい。
今からでも遅くない。新エージェント会社の経営は外部の人間に任せ、東山さんはタレントとして契約をして「90歳まで続けたかった」という思いを全うして欲しいと願う。
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