「奪われし未来」は、さまざまな合成化学物質が環境を脅かし、人間を含む生命体のホルモン分泌系を破壊していく危険性を警告するドキュメンタリー。衝撃的な内容から2000年代に「環境ホルモン騒動」を引き起こしたベストセラーの増補改定版です。
内容もさることながら、著者のシーア・コルボーン博士の経歴に注目したい。
彼女が環境問題を勉強するために大学院へ入ったのは、なんと50歳を過ぎてから。58歳で動物学博士号を取得、五大湖の科学調査プロジェクトチームに参加しました。その後鳥の生殖異常から環境ホルモン問題を告発した「奪われし未来」を出版、環境問題研究のノーベル賞と言われる「ブループラネット賞」を受賞しています。
彼女がその歳で満を持して新しい分野に飛び込んだのは、それまでの野鳥を愛し、家庭、子育てを大切にしてきた経験の積み重ねがあったからこそ。
以前、彼女を紹介した地域新聞の記者が印象的な言葉を残しています。 『その人にとって、まさにその時というポイントがある。 「何でも始めるのに遅いということはない」と人はよく言うが、そうではなく、 「その人にとって最良の時がある」と置き換えたい』
これがターニングポイントというものなのだな。
無駄に思える時間や、あの時やり直せたら…と思うこともたくさんあるけど、それも自分の人生の土台になる積み重ねのひとつなのだ。
昔、サントリーウィスキーのCMで、敬愛なるショーン・コネリー様もつぶやいていました。
「時は、流れない。それは積み重なる」
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