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JR鶴見線/都会のローカル線 ~海上の秘境「海芝浦駅」と高架下の昭和レトロな「国道駅」

地方鉄道・ローカル線の旅

※2024年6月現在
鉄道ファンに根強い人気を誇る都会のローカル線といえば、西の横綱「和田岬線」東の横綱「鶴見線」
今回訪れた鶴見線は、東京湾に埋め立てられた京浜工業地帯の工場群を縫って走り抜けるJR線。
鶴見駅」~「扇町駅」に至る本線と、途中で海側へ分岐する2つの支線から成る路線です。

JR鶴見駅構内・案内図

主な役割は湾岸に広がる工場群への通勤客輸送なので、朝夕の通勤ラッシュ以外の昼の時間帯は本数が少なく、訪れる一般客は物好きな鉄道ファンくらい…と思いきや、いやいや、この路線むちゃくちゃオモシロイです。
ガチな鉄道ファンの方々は大川駅や扇町駅まで各駅制覇を楽しむようですが、「おいしいとこどり」をしたい場合は 鶴見駅 ⇔ 海芝浦駅 を往復して、鶴見駅周辺でランチ&観光というルートがおすすめ。
今回は復路で鶴見駅のひとつ手前の国道駅で降りて美味しい町中華屋さんでランチ&総持寺を散策しながら鶴見駅まで歩きました。

鶴見駅 10:30発
⇩ 鶴見線 扇町行き
浅野駅  10:38着 
     10:58発
⇩ 鶴見線 海芝浦行き
海芝浦駅 11:01着
     11:16発(折り返し)
⇩ 鶴見線 扇町行き
国道駅  11:25着
⇩ 徒歩
花月総持寺駅
  中華料理「KATSU」
  総持寺
⇩ 徒歩
鶴見駅

「JR鶴見線」~都会のローカル線・東の横綱

鶴見線は戦時下に沿線に軍事施設がつくられ、軍事上重要な路線として国家買収されて国鉄線となりましたが、もともとは臨海埋立地の輸送機関として民間企業によって敷設された「鶴見臨港鉄道」という私鉄でした。
そのため鶴見駅鶴見線ホームはJR線から離れた場所にあり、JRらしからぬ独特の構造になっています。

「鶴見駅」鶴見線入口
ホームはアーチ型の鉄骨屋根に覆われています
2023年12月から導入されたE131系車両。新型なだけあってローカル線とは言い難いないキレイな車両です

⇧この車両どこかで見たなあと思ったら、JR相模線も同じE131系でした!
「JR相模線」で行く 八方除の守護神「寒川神社」

平日の昼間、利用客はまばら

鶴見駅 ⇒ 海芝浦駅 まで直通の便もありますが、あえて浅野駅で乗り換えて20分間の待ち時間を楽しむことに。

鶴見線の駅名のほとんどは当時の実業家の名前等にちなんで命名されており、「浅野」駅は鶴見臨港鉄道を設立した浅野財閥の創設者浅野総一郎氏に由来しています
鶴見線は鶴見駅以外はすべて無人駅
海の反対側は工業地帯です
浅野駅で大川支線と海芝浦支線の乗換駅が複線が分岐しています

「海芝浦駅」~海上に浮かぶ都会の秘境駅

鶴見線・海芝浦支線の終着駅「海芝浦駅」。
この駅は東芝京浜事業所の敷地内にあるため、同社関係者以外は改札(というか会社の通用門)から出ることができず、建物など工場側の撮影もNGです。
にもかかわらず「関東の駅百選」に認定されているこの駅を訪れる一般客のお目当ては、直下が京浜運河の海面となっているホームから望む京浜工業地帯の絶景
そんな一般客のために駅の先には「海芝公園」という小さな公園があり、ベンチに座って海を見ながら休憩することができます。
滞在時間はわずか15分。これを逃すと1時間半駅内で過ごすことになるのでのんびりボーっと過ごすというわけにはいかないけれど、景色を楽しむには十分な時間です。

ホーム柵の外は、眼下に海面が広がっています
無人駅なので、タッチパネルで運賃を精算します。これをやらないと無銭乗車になってしまうので注意
対岸は扇島。首都高速湾岸線の斜張橋鶴見つばさ橋、さらに横浜ベイブリッジまで望めます。この日はあいにくの曇り空でしたが、晴天の日や夕暮れ時はさらなる絶景が期待できます
海芝公園内。海沿いにはベンチが設置してあります
この日は校外学習の小学生たちと一緒になり、賑やかでした。こんな授業なら風月も参加したい!

「国道(こくどう)駅」~戦時下の傷跡が残るレトロな駅舎

海芝浦駅から折り返し、鶴見駅のひとつ手前の「国道(こくどう)駅」で降りました。

開業した昭和5年(1930年)から一度も改装されておらず、昭和初期の雰囲気がそのまま残る高架下の駅構内は時が止まったかのようなレトロな空間。
ロケ地としてもよく使われている、海芝浦駅と並ぶ鶴見線の名所です。

国道駅ホーム。高架下の改札につながる薄暗い階段を下りていきます
2階部分にある下りホームへの渡り廊下から地上階を覗くことができます

ホームから階段を降り改札(ここも無人駅)を出ると、高架下に長さ約70mの薄暗い道が延びています。

すすけたベニヤ板の壁、コンクリートのアーチ、薄暗い天井灯。数軒を残し役目を終えた商店街が静かに佇んでいます
国道駅の鶴見川方面の出入口。鉄骨はホームの支柱
裏道は高架下住居となっています
鶴見川沿いで少し休憩
駅名の由来にもなっている京浜国道(第一京浜)側の駅入口。右側の壁に戦時下に受けた機銃掃射の跡が残されています

JR国道駅から徒歩で總持寺方面へ向かいます。

「花月園前踏切」~京急「花月総持寺駅」脇にある日本一長い(?)踏切

JR国道駅から總持寺へ行くには京浜急行電鉄「花月総持寺駅」横の踏切を超えていかねばならず。
実はこの踏切は京急だけでなく横須賀線、東海道線、湘南新宿ライン、貨物線、相鉄・JR直通線の8本の線路を横断する、ムチャクチャ長い「開かずの踏切」。日本一長いと言われてはいますが、確証はありません。
花月総持寺駅にエレベーター完備のの跨線橋もあるのですが、せっかくなので横断に挑戦してきました。

花月総持寺駅」入口。跨線橋を使うならこちらから
踏切から見た花月総持寺駅ホーム
花月園人道橋(花月園跨線橋)」通常はこちらを利用した方が早いです

踏切脇に立っていた係員の方に「どのくらい待ちますか」と聞いたところ、「わかりません。5分で開く時もあれば20~30分かかる時もあります」とのこと。
10分待ってダメなら跨線橋を渡ろうかと話していると、ちょうど10分経った頃何の前ぶれもなく突然遮断機が上がり、慌てて小走りで横断!まあ、普通遮断機が上がる前ぶれなんてないか(^^;。
なかなかスリリングな体験でした。

「中華料理 克(KATSU)」町中華で味わえる本格中華料理

「中華料理 克(KATSU)」
ランチは花月総持寺駅から徒歩3分の場所にある町中華「克(KATSU)」。
ネットで調べてとても評判がよかったので、ここにに決めていました。

開店と同時に入店。平日の昼間だったので、席は仕事の昼休みと思われるお客さんであっという間埋まっていました
多彩なメニューから悩みまくって選んだチャーハン。シンプルなものほどシェフの力量がよくわかります。美味しかった~! スープも手を抜いていません
餃子も間違いなし

評判に偽りなし!
鶴見駅方面に来た時は少し足を伸ばしてでも寄る価値のあるお店でした。

お腹も満ち足りたところで、午後はのんびりと總持寺へ。

曹洞宗 大本山 「総持寺(總持寺)」

総曹洞宗 大本山 「總持寺」
JR京浜東北線「鶴見駅」西口より徒歩5分
京浜急行線「京急鶴見駅」より徒歩約7分
京浜急行線「花月総持寺駅」より徒歩約7分

東京湾を望む鶴見川のほとりにある大本山總持寺は、曹洞宗の大本山。
広大な敷地は約15万坪。本尊釈迦如来像が安置された仏殿をはじめ、16の建造物が登録有形文化財に登録されています。

「三松関(さんしょうかん)」總持寺の総門
「三松閣(さんしょうかく)」前の広場
「三門」左右に元横綱・北の湖関をモデルにしたと伝えられている阿吽の仁王像が納められています
「三宝殿(さんぼうでん)」總持寺の守護神・荒神様(三宝大荒神)が祀られています
「大祖堂(だいそどう)」開山堂と法堂を兼ねた本堂客殿
「百間廊下(ひゃっけんろうか)」東西伽藍を繋ぐ全長164mの渡り廊下
「仏殿(大雄宝殿)」ご本尊の釈迦牟尼如来像が祀られています
「大梵鐘(だいぼんしょう)」三門の東を登った小高い丘陵(雙眸丘(ふたみがおか))にあります
「平成救世観音像」こちらも雙眸丘にひっそりと佇んでいます。東日本大震災の被災地への祈りをこめて建立されました

總持寺はとにかく広大。屋外も含めてすべてをじっくり見て回るには1時間半はみておいた方がいいかもしれません。
帰りは正門側から抜けて鶴見駅へ。
鶴見駅周辺には飲食店はたくさんありますが、お寺の敷地内で飲食できるのは予約制の精進料理(2024年10月現在能登地震の影響により中止)のみ。事前にランチに寄ったのは正解でした。

内容の濃い充実した旅となった鶴見線めぐり。
いつもはある程度行き当たりばったりが多い風月ですが、今回ばかりは事前に時刻表とルートをしっかり確認してから周りました。
お天気がいい平日におすすめルートです。

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