隠れドラマオタク、50代シングルマザーのライター風月。
好きなドラマは、基本ストイック系でもコメディ要素もあって重すぎない「元気をもらえるドラマ」。
前評は全く見ず、世間の評価や視聴率は全く関係なく、2022年秋ドラマから勝手に選んだBEST4+1です。
大好きな三谷幸喜さん脚本の大河ドラマ「鎌倉殿の13人」と、安定の「相棒」はわざわざ語るまでもないので圏外。
*以下、ネタバレあります。
1位「PICU 小児集中治療室」
「PICU 小児集中治療室」 フジテレビ
出演:吉沢亮・安田顕・大竹しのぶ・高杉真宙・木村文乃 ほか
脚本:倉光泰子
全話配信:FOD
過酷な気象条件、交通が行き届かない広大な北海道で、「PICU(小児専門の集中治療室)」の設立、医療用ジェットの運用を実現するために奔走する医師たちの姿を描いた医療ドラマ。
風月は恋愛系・ホーム系ドラマがちょっと苦手。実はこのドラマも「純愛ディソナンス」をてがけた倉光泰子氏の脚本と知り、最初はちょっと引き気味だったのだけど、これがいい意味で裏切られました。
究極の「命の現場」での医療従事者の方たちの葛藤が、「お涙頂戴」ではなく淡々と描かれているのがよかった。
東北を舞台に「命」と向きあってきた『監察医朝顔』のスタッフが手掛けた医療ドラマということで納得。
なのでキャストも、ほぼ全員が「熱血系」ではなく、どちらかというとあまり表情豊かではないタイプ
…なのだが、大竹しのぶさんが演じた50代シングルマザーの母親役が自分と重なりまくり(;∀;)。
(さすがとしか言いようがない大竹しのぶさん、「鎌倉殿の13人」での怪演も凄かったですね)
成人しているとはいえまだ若い息子を置いて先に逝かなければいけない母の姿が刺さりすぎて、これはキツいなーと思ったのだけど、最終回で大逆転。
主役のしこちゃん先生は、最愛の母の死、患者の子どもの死をちゃんと乗り越え、「それでも生まれかわっても医者になりたい」と言えるほど成長。しこちゃん先生を演じたまつ毛が長すぎる吉沢亮さんは、このドラマを通して役柄だけでなく、役者としてもほんとに成長したのではないかと。
20代の若者たちに対しては、完全に母目線になってしまうのであった(笑)。
今年風月が乳がんの手術でお世話になった外科の先生も、手術前は口が悪く厳しいイメージだったのが、手術後は別人かと思うほどおだやかで優しくなったのが印象的でした。
数百件もの手術を経験してきていても、人の命を預かることに慣れることはなく、その度に大変な緊張を強いられるのだ。想像を絶する仕事です。
ドラマの中で50代風月に響いたセリフが、同世代の医師たちの「われわれにもまだやれることがある」との言葉。
若い人たちを応援するだけでなく、自分たちができることもまだあるのだなと、あらためて勇気をもらいました。
もうひとつ特記すべきが、主題歌の『俱に(ともに)』。
もうね、昭和世代の風月は、中島みゆきさんにはほんとに弱い(笑)。
~ともに走りだそう ともに走り継ごう~
「走り継ごう」ですよ、「走り継ごう」。
これがドラマ中に流れ始めると、無条件で泣けてきます。
『俱に』のシングルCDは、ちょうど今公開されている映画『Dr.コトー診療所』の主題歌『銀の龍の背にのって』とのカップリングで発売中。最強やんけ。
2位「ザ・トラベルナース」
「ザ・トラベルナース」 テレビ朝日
出演:中井貴一・岡田将生・松平健・寺島しのぶ・菜々緒 ほか
脚本:中園ミホ
全話配信:
TELASA
U-NEXT ↓
music.jp↓
ひと癖あるが圧倒的なスキルをもつ「フリーランスのスーパー看護師(=トラベルナース)」。
「『ドクターX』の看護師版かい」と思っていたら、やはり脚本は『ドクターX』の中園ミホ氏でした。
ケンカばかりしているトラベルナースの九鬼静(中井貴一さん)と那須田歩(岡田将生さん)だが、実は静は、歩が子どもの頃亡くなった母親を看取った時に立ち会ってくれた看護師さんだった。静はその後も「あしながおじさん」として歩の成長を見守り、親子同然の関係性で結ばれていたことがわかる。
男性の看護師、フリーランスという働き方、「あしながおじさん」との関係性。
テレ朝のドラマは、権力や古い体制へのストイックな反骨と同時に「性別」「働き方」「血のつながり」にとらわれない自由な生き方を提唱しているものが多くて好き。
ちなみに風月が過去最高傑作だと思っているドラマもテレビ朝日です⇩
50代ライターが選んだ 【勝手にドラマランキング歴代第1位】「和田家の男たち」
3位「ファーストペンギン」
「ファーストペンギン」 日本テレビ
出演:奈緒・堤真一・梅沢富美男・吹越満 ほか
脚本:森下佳子
全話配信:Hulu↓
崖っぷちの子連れシングルマザーがたどりついた漁港で、縁もゆかりもない日本の漁業の世界に飛び込み、悪しき慣習を打ち破り、革命を巻き起こす。
「ファーストペンギン」とは、群れを従えながら最初に危険な海に飛び込む勇敢な1羽のペンギンのこと。
誰かか飛び込めば群れはついてくる。専業主婦だった若い女性がガンコな漁師のおっさんたちを相手に啖呵をきり、素人ならではの勢いで先導していく爽快なサクセスストーリーです。
あまりにマンガ的な展開に「ちょっと現実感が薄いなあ」なんて思っていたら、なんと奇跡の実話のモデルがいるというからぶったまげ。
ドラマの主人公・岩崎和佳のモデルになったのは、数々の受賞歴・メディアにも出演している坪内知佳さんという女性でした。
脚本は『JIN-仁-』『天皇の料理番』『義母と娘のブルース』などをてがけた森下佳子氏。
体当たりで元気いっぱいの主演をつとめた奈緒さん、漁師役の堤真一さんや吹越満さん、漁協の組合長の梅沢富美男さんなど、周りを固めるキャストも秀逸。
これで面白くないはずがない。今期一番元気をもらったドラマでした。
ちなみにファーストペンギンに登場する絵本『ペンペンの冒険』は今のところ「絵本ナビ」で限定配信中です。
4位「アトムの童」
「アトムの童」 TBS
出演:山崎賢人・松下洸平・岸井ゆきの・風間杜夫・オダギリジョー ほか
脚本:神森万里江
全話配信:Paravi
2人の若き天才ゲーム開発者が倒産寸前の老舗おもちゃメーカー「アトム玩具」と手を組み、IT業界の大資本企業に立ち向かい成長していく。
日本が誇るモノづくりの技術を武器に生き残っていく「老舗中小企業の底力」を描いたドラマといえば、池井戸潤氏原作の『下町ロケット』や『陸王』。
『アトムの童』はこれに「ゲーム」という現代的要素をもりこんだ感じ?
原作はなく、神森万里江氏の完全オリジナル脚本とのことだが、背景もキャラもよく作り込まれていて最後まで楽しめました。
番外編「最高のオバハン中島ハルコ(2022)」
「最高のオバハン中島ハルコ(2022)」 フジテレビ
出演:大地真央・松本まりか・合田雅吏・蕨野友也・今野浩喜・佐野史郎 ほか
脚本:西荻弓絵
配信:
FOD
U-NEXT↓
アラ還のオバハン役としては美しすぎる大地真央さんが演じるカリスマ美容外科医「中島ハルコ」。
舎弟のアラフィフの編集者・菊池いづみ(松本まりか)やイケメンの助さん・格さんと共に、「私を誰だと思っているの」という決め台詞で権力・不正・不条理をばったばったと切り伏せていく。「令和の水戸黄門」が世の中のに立ち向かう完全懲悪痛快コメディだ。
母娘のようなハルコといづみの関係性がいい。
普段は毅然といづみに命令し振り回しているハルコも、実はいづみの存在に支えられている。
何もないまま40代を迎えてしまったいづみと飲みながら「私たちがいるじゃないの」と本音を語るシーンに癒されたり。
50代女子が週末の夜アタマを空っぽにして見るのに最適なドラマです。
林真理子氏原作「最高のオバハンシリーズ」も痛快⇩
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