闘病記

乳がんサバイバー⑤ 病理検査結果~放射線治療とホルモン療法

闘病記

乳がん摘出手術(乳房温存・センチネルリンパ節生検)後1か月、病理検査の結果が出て治療方針が決まった。
検査結果は以下の通り↓

断端陽性(入管内病変)
病理検査では、組織を3~5mmくらいに薄くスライスして染色し、その細胞ががん細胞かどうかを確認する。この検体のなかにがん細胞がみつからなければ断端陰性となり、がん細胞がみつかれば断端陽性となる。

非浸潤性乳管癌
乳管の細胞から発生した乳管がんが、乳管内にとどまっている状態が「非浸潤性乳管がん」。
その後がん細胞は、進行すると乳管の壁(基底膜)を破り「浸潤性がん」となり、周囲の健康な組織に波及していく。これがリンパ管や血管まで進むと転移の危険性が出てくるのである。
つまり、乳管だけにとどまっていれば転移の可能性はほとんどなく、手術で切除すれば完治することが可能なのだ。
早期発見がいかに大切かということがこれからもわかる。

手術前に「非浸潤性乳管がん」であるとはっきり診断がつけば、手術の際に「腋窩リンパ節郭清」を行う必要はないが、手術後の最終的な病理診断の結果、浸潤がんと判定されることもあり、その後にリンパ節郭清を行うことになる。

核異型度3 
いわゆる「がんの顔つき」と言われる、病理学的悪性度(グレード)を示す。核異型度は形態上の変化の度合いを1~3で表し、グレードが上るほど再発する率が高くなる。
「グレード3」はかなりたちが悪く、浸潤型だった場合は「抗がん剤」の適応を判断する基準になるが、風月は非浸潤であったため、これからは外れる。
 
Ki-67 15%
Ki-67とは、乳がんの増殖能力(増殖スピード)を示す指標。
一般的にKi-67が20~30%以上である場合「高値」とされているが、まだ世界的な基準は決まっていない。
術前の生検では5~10%以下だったのだが、それよりは少し高めに出た。

径 3.5×3.4×1.0cm
がん細胞の大きさ。
手術前の検査では、超音波やマンモグラフィーでは1㎝前後、MRIでは2㎝前後だったので、実際は思ったより大きくてびっくり(^^;。
検査の誤差なのか、最初の検診から手術までの3か月で育ってしまったのかは定かではないが、この大きさで乳管にとどまってくれていたのは奇跡的と言えるかもしれない。
↑*後日このギモンをドクターMに聞いてみたところ、非浸潤癌は乳管の中を苔のように這って増殖していくのだそう。なので3.5cmというのはしこりの「径」ではなく「長さ」といった方が近いとのこと。なるほど、それで壁を破って浸潤していくことがなかったわけだ。

脈管侵襲 なし
がん周囲の血管やリンパ管の中にがん細胞はみられなかった。
 
ER 3b/PgR 2/HER2 2+
ER(エストロゲン受容体) 、PgR(プロゲステロン受容体)は、エストロゲンやプロゲステロンといった女性ホルモンが増殖に関与している乳がんである指標。
ホルモン受容体陽性(=ルミナル型)の乳がんには、術後ホルモン剤が使われる。

HER2(上皮成長因子受容体2)は、細胞の増殖などに関係しているタンパク質のこと。
HER2陽性(=ルミナルB型)の場合は、ハーセプチンなどの分子標的薬が有効となる。
最新の乳癌治療ガイドライン(2018)では、非浸潤性乳管癌におけるHER2は、現時点で勧める根拠がない、としている。

手術前の生検では病変の一部を切り取り評価するので、手術後の病理検査結果とは異なることも少なくない。
風月の手術前の画像・生検結果と、手術後の病理検査結果との違いは、「腫瘍の大きさ」「核異型度(これは手術前には出ていなかった)」「HER2」の3点だった。
が、「非浸潤」であることに変わりがなかったのが、何よりもありがたいことだった(T_T)。

病理検査の結果(非浸潤でリンパへの転移がなかった)から、風月の今後の治療は「局所内(乳房内)での再発を予防する」ことが目的となる。
というわけで、「放射線療法」と「ホルモン療法」が加わることになった。

「放射線療法」は、手術で取り切れなかった、残存する目に見えない顕微鏡レベルの癌細胞を根絶させるために必要となる。
房温存手術を行った場合は標準治療として行われており、通常は25~30回、毎日通院して行われる。

「ホルモン療法」とは、薬を用いてエストロゲンの産生を抑えたり、エストロゲンが受容体と結合するのを阻害することによってがん細胞の増殖を抑制する、再発予防療法。
通常5年~10年服用し続けることになる。
風月は非浸潤だったため、ドクターMは「ホルモン治療に関してはやらなくてもいいくらいだが、再発を恐れて暮らすよりはやっておきましょうか」との判断だった。
非浸潤とはいえ、グレードの高さや腫瘍の大きさを考えると、確かにやっておいた方が安心ではあるのだが、もともと潰瘍性大腸炎で薬漬けであったり、アレルギー体質であることから、薬の「副作用」に嫌な予感がするのだ。
なので、今のところ「とりあえず試してみる」というスタンスでいこうと思う。薬にも何種類かあるようなので。
追記:結果的にホルモン治療はやらないことに決めました。
乳がんサバイバー 「がん」とつき合いながら生きるということ

いずれにしても副作用との闘いになる。
まずは放射線治療から。
来週から病院の担当科が「外科」から「放射線科」へ移ることになる。

⇒ 乳がんサバイバー ⑥ 放射線科初診察 治療の準備
⇐ 乳がんサバイバー④ 手術後~病理検査結果が出るまで1か月

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