闘病記

乳がんサバイバー⑥ 放射線科初診察 治療の準備

闘病記

乳がん摘出手術からちょうど1か月。
ようやく傷口がふさがったと一息ついた頃、間髪を入れず「放射線治療」が始まった。

放射線治療は、がん細胞に高エネルギーのX線を照射することで、がん細胞を死滅させたり小さくしたりする治療法。
乳房部分切除術の後には、残っている可能性のあるがん細胞を撲滅し、再発の可能性を減らすために、原則として手術とセットで放射線治療が行われることになる。
一般的には、1日1回、週5回で約4〜6週間かけて照射する。
主な副作用は、治療範囲(照射部位)の皮膚炎、放射線酔い(宿酔)など。

放射線科の外来初日
放射線治療は、乳腺外科ではなく「放射線科」で進めることになる。
放射線科の外来初日は、CT検査と治療日程の調整から。

CT検査は、放射線の照射方向や範囲を決めるために行われる。
位置が決まると、緑のマーカーで、胸の3か所に大きな十字が書かれる。最先端技術を駆使して精査して、最終的には意外とアナログな方法でのマーキングであった。
このマークは非常に重要なので、治療終了まで消えないように注意。この日はマークの上から薄いフィルムが貼られたが、風月は肌が弱いので、痒みなどが現れたら無理せず剥してもOKとのこと。ただ、お風呂でゴシゴシはNG。

次に日程調整。
合計33回の照射を週に5回。1回の照射時間は10分程度だが、平日は毎日、1か月半以上通うことになる。
通勤をしている人は朝いちで治療を受けてから出社する人も多いそうだが、風月はほぼ在宅なので、午後の空(す)いている時間帯にしてもらった。

担当の医師、看護師さんから一通り副作用の説明があり。
あらかじめ予習はしてあったので覚悟はできていたのだが、想定外だったのが「バドミントンは2か月位は控えた方かいい」とのお達し。
ええ~、傷口ふさがったし、外科のドクターMからは「そろそろ始めてだいじょーぶ」と言われていたのに(T_T)。
どうやら副作用の「放射線皮膚炎」というのがあなどれないらしい。
皮膚炎は人によって程度の差はあれ、ほぼ全員になんらかの症状は現れる(皮膚の乾燥(カサカサ)は一生続く)とのこと。
皮膚炎といっても要は「火傷(ヤケド)」なので、ひどい場合は水ぶくれになったり、ただれて皮がむけたりするので、肌と衣服が擦れると悪化する。
なので、「残念ながらバドミントンのような激しい運動は無理だと思います。特に風月さんは右側だし。」とのこと。

思った以上の副作用にちょっとヘコんで、帰宅後ネットでみなさんの体験記などを読んでみたりしたのだが、これがよくなかった。自分で書いといてなんだけど。
最近は治療跡の画像などをあげてくれている方もいるわけで(^^;。

そしてよりにもよって、本日は8月9日、長崎原爆の日。
祈りをささげながらも、TVから目に入ってきたのは、被爆者の方の映像。

あらためてつきつけられた現実。
風月は、人を死に追いやる「放射線」に、命をつながれようとしているのだ。

さすがにメンタルやられました。

使い方によってこれほどまでに善悪が分かれるものも少ない。
同じ研究であっても、人々の命を救う医学の発展に尽くす「善」と、壮絶な虐殺兵器を作りだす「悪」との分かれ道はどこにあるのか。
その中で自分は今、「善」の恩恵を受けて生かしてもらっていることには、あらためて感謝せずにはいられません。

一時期の副作用を想像してヘコんでいる場合ではなかった。
ちくしょー、がん細胞。絶対に撲滅してやるからな。
来週から、照射が始まります。

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