本・映画・音楽・ドラマ

50代ライターが選ぶ【2023年冬・勝手にドラマランキングBEST3+1】

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隠れドラマオタク、50代シングルマザーのライター風月が、2023年冬ドラマから勝手に選んだBEST3。
前評や口コミ、視聴率は全く関係ない独断です。以下、ネタバレもありますのでご了承ください。

安定の「相棒」はわざわざ語るまでもないので圏外。
ちなみに「相棒シーズン21」は、過去の相棒の登場や、水谷豊氏が70歳を迎えたこともあり(水谷さんは「相棒は自分が70歳になるまで」と言っていたことがあるので)、これで最終か?と思われたが、どうやらシーズン22も続くことになりそうです。

さて、今期のドラマで目立ったテーマは、「多様性」。
ジェンダーだけではない、100人いれば100人の生き方、仕事、暮らし、生活があり、そこに正解はない。
そんな多様性が認められる社会になりつつあると希望がもてる内容が多かったように思います。

1位「リエゾンーこどものこころ診療所ー」

「リエゾンーこどものこころ診療所ー」 テレビ朝日

出演:山崎育三郎・松本穂香・志田未来・戸塚純貴 ほか
脚本:吉田 紀子 ほか
全話配信:TERASA

小児心療内科を舞台に、自らも発達障害(ASD・ADHD)を抱える院長と研修医のコンビが、さまざまな生きづらさを抱える子どもとその家族に向き合うさまが描かれている。
きれいごとや理想論では片づけられない、ナイーヴな難しい題材に正面からとりくんでいる秀作。
最近は「発達障害」という言葉も知られてきてはいるが、理解されているようでもまだまだ誤解や偏見も多く、当事者や家族でなければわからない「あるある」がたくさんあります。
「リエゾン」は、その現実によせた丁寧な取材と裏付けに基づいて制作されたのではないかと。
脚本を始め「Dr.コトー診療所」のスタッフが手掛けたというのがうなずけます。

描かれているのは発達障害や心の病だけなく、ヤングケアラー、摂食障害、ステップファミリーなど、背景にある社会問題を考えさせられる題材も。
現実を淡々と描き、重くなりすぎず、そして希望をもてる内容になっていました。

クリニック院長役は変幻自在のミュージカル界のプリンス、山崎育三郎。さすがの演技です。
また、クリニックに関わる子役たちのあまりに自然な演技にもビックリ。

以下、印象に残ったセリフ。

「気持ちによりそう?余命3ヶ月の患者の気持ちがわかるのは余命3ヶ月の医者だけだ」
「逆に、同じ思いをしているのに全く違う受け止め方をする人間もいる」
「子どもたちは自分のことをかわいそうだとか不幸だとか思っていない。けれど周りの大人からかわいそうだと言われると、自分はかわいそうなのだから不幸な顔をしていなければいけないと思いこむことがある」

原作コミック『リエゾンーこどものこころ診療所-』
ヨンチャン(原作・漫画)
竹村 優作(原作)
講談社「モーニング」連載中。


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2位「リバーサルオーケストラ」 

「リバーサルオーケストラ」 日本テレビ

出演:門脇麦・田中圭・生瀬勝久・津田健次郎・原日出子 ほか
脚本:清水友佳子
全話配信:Hulu 

冷徹なツンデレ指揮者と過去に傷をもつ天才ヴァイオリニストが、地元のポンコツ交響楽団を立て直すというストーリー。
「のだめカンタービレ」と重なるかと思ったけれど、「のだめ」が学生のラブストーリーだったのに対して、こちらは社会人である団員たちの人間ドラマが描かれている。
キャラクターはみな個性的だが、「のだめ」ほどのキョーレツな天才キャラではなく、現実的だ。

反抗期の子どもや、認知症の妻と向き合う人、かなわない恋愛をしている人など、日常の切なさと幸せを、ちょっとおせっかいなオケの団員たちが見守る。
敵対しているはずのライバルも実は一番理解のある仲間だったり、オケの存続を妨害する役人も小心者で憎めなかったり、根っからの悪人がでてこない。
音楽を愛する人たちが、同じように人を愛する温かさを持っていることに癒されました。
また風月はガチな恋愛ドラマがあまり得意でないのだが、このドラマでの恋愛の描き方はあっさりしていてよかった。
ラストで朝陽と初音が手をつないで楽しそうに歩く姿に、うっかりキュンとしてしまった。

難しいこと考えずにフツーに感動できる、王道の大円団ドラマ。後味良く、たくさん元気がもらえました。

3位「今夜すきやきだよ」

「今夜すきやきだよ」 テレビ東京

出演:トリンドル玲奈・蓮佛美沙子・鈴木仁・三河悠冴 ほか
脚本:山西竜矢
全話配信:Paravi 

第26回手塚治虫文化賞新生賞を受賞した、谷口菜津子氏コミック「今夜すきやきだよ」をドラマ化。

アロマンティック(他人に恋愛感情を感じないセクシュアリティ)である絵本作家の「ともこ」は、料理が得意だが仕事はスランプ気味。
かたや結婚願望が強い内装デザイナー「あいこ」は、仕事はデキるが家事全般が苦手。
正反対の二人がひょんなことがきっかけで一緒に暮らすことになる。
お互いに足りない部分をおぎないあえるちょうどいい関係で楽しく暮らしていた二人だが、あいこが結婚することになり、その関係性は変化していく。
そして、ともこの親友「しんた」はトランスジェンダーだ。アロマンティックであるともこにとっては、自分に恋愛感情を持つことはないしんたとの関係がラクなのだ。

あいこが家を出て行く時に二人でおにぎりを食べて泣くシーンが、昔の自分と重なった。
風月も就職と同時に家を出て、中学の同級生だったHIKOと6年間一緒に暮らした経験がある。
お互い結婚が決まって引っ越す前夜、別れを惜しんで泣いたものだ。(風月は後に離婚した時よりこの時の方がつらかった 笑)
お互い家庭を持ち子育てを経てなお、HIKOとは今でも姉妹同然の関係が続いている。

血のつながりやジェンダーに関係なく、家族や人生の仲間になれる関係性がある。
逆に言うと血がつながっていても家族になれない関係性もあるのだ。
男と女が結婚して籍をいれて同じ家に住み、男が稼ぎ、女が家事や家族の世話をして、自分たちが生んだ子どもを育てる。
それが「普通」であるという偏った常識にとらわれない多様性が認められる時代が来れば、生きづらい世の中で病む人も減るのではないかなあ。

ともこが描いた絵本の1ページが心に残る。

「新しい道を作ろう 誰も知らないから
でもふたりなら あるきつづけられる」

原作コミック『今夜すきやきだよ』
谷口菜津子 著

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+1「ペルソナの密告~3つの顔をもつ容疑者~」

「ペルソナの密告 ~3つの顔を持つ容疑者~」 テレビ東京

出演:沢村一樹、竹内涼真、畑芽育、森永悠希ほか
脚本:大北はるか
配信:Paravi 

3月24日、テレビ東京で放映された2時間のドラマスペシャル。
過去にある事件で妻を殺害された元刑事・獅子舞(沢村一樹さん)が、連続誘拐事件の容疑者・解離性同一性障害(DID)の青年・元村周太(竹内涼真さん)の取り調べに挑む。

解離性同一性障害(DID)とは、かつては多重人格と呼ばれていた症例。風月世代では30年以上前に発刊された「24人のビリー・ミリガン」を記憶している人も多いだろう。
何と言っても、この複雑で難しい「交代人格」を見事に演じ切った竹内さんの演技が圧巻。しっかり台本を読み解き、真摯に役作りに挑んだのであろうと思われる迫真の演技でした。
以下、竹内さんのインタビュー記事より。
『DIDという症例を抱える人になりきるのではなく、それぞれの人格の奥底に眠る、愛されたい、褒められたい、認められたいという気持ちを自分の中に取り入れて演じるようにしました。だからこそ、皆さんが作品を観た時に、人間ドラマとして感情移入できるのではないかと思っています』(テレビ東京公式HPより)

キーワードは「人は誰だって、いくつもの顔を使って生きている」という獅子舞の言葉。
冒頭から引き込まれ最後まで一気に観れたストーリー展開でしたが、2時間できれいにまとめてしまうのはもったいないかも。てか、短時間では表現しきれない、奥が深すぎるテーマ。スタッフの方たちも、メインキャストだけでなく脇を固める役どころのそれぞれの思いや現実を、もっと掘り下げたかったのではないでしょうか。
連ドラ、せめて前後編で観たかったなあ。続編に期待したい。

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