屋久島 春の母娘女子旅

【矢筈嶽神社・屋守人園・横川渓谷・西部林道・大川の滝・石楠花の森・地魚料理「若大将」】宿のオーナーのとっておき西部林道観光ドライブ

屋久島 春の母娘女子旅

春の屋久島母娘女子旅9日目。
運転に自信がない風月母娘が、一度は諦めた西部林道。なんと滞在先の 屋久の宿「たぐち」の田口オーナーのご厚意で、西部林道を含め、屋久島一周のドライブに連れていってもらえることに(≧▽≦)!
通常のツアーでは行けない穴場や、地元の方との交流など、忘れられない体験がてんこ盛りの、スペシャルな一日となりました。
*屋久の宿「たぐち」のレポートはコチラ

ルートは宮之浦から半時計周り、北~西側の集落やスポットを中心に、ぐるっと屋久島を一周!
奇跡的によく晴れた晴天の中、途中でお弁当を購入しながら、のんびりドライブに出発です。

map:屋久島町観光まちづくり課発行

まずは宮之浦から車で15分、屋久島最北端の港町「一湊(いっそう)」へ向かいます。

一湊集落 ・一湊海岸

屋久島は太平洋で発生した台風の通り道。北側はその影響をまともに受ける厳しい自然環境にさらされています。
そんな中、一湊は古くから海を大切にしてきた漁業の町として栄え、屋久島で唯一「山岳信仰」を捨てている集落です。
北の岬には漁を見守る矢筈嶽神社、西には一湊漁港、海水浴やダイビングのスポットとしても有名な一湊海岸があります。

台風による暴風に飛ばされないよう、長屋のようにつながる四角い家屋
サバ漁で知られる一湊漁港。透明度が高く水深40mの底も見ることができるため、釣りは浮きがいらないほどだそう

一湊海岸」は、太平洋へ突き出した矢筈崎に包まれた入江にある、屋久島最北部の海岸。
入り組んだ地形のため波がおだやかで、花崗岩が砕けてできた白い砂浜は、シーズン中は海水浴やダイビング、シュノーケルなどを楽しむ人々で賑わいます。

おだやかな入り江に透き通った碧い浅瀬が広がる
田口オーナーもかなりガチなダイバー。夏には海のレジャーのアドバイスも期待できそう

矢筈嶽(やはずだけ)神社 ~断崖の洞窟に祀られている海の神様

海と共に暮らす一湊集落の人々の信仰の中心となっているのが、この「矢筈嶽神社」。
一湊海岸を包む矢筈岬のふもとの洞窟に、大漁祈願と航海安全、縁結びの神様が祀られています。

目印は断崖の中腹にポツンと立つ赤い鳥居。
矢筈嶽神社は、自然環境が厳しい島の北部で、台風や荒波を受けながら何度も再建されているのだそう。
集落の人々が大切に守っている聖地に、そっとおじゃましました。 

断崖の中腹に立つ赤い鳥居。あんな場所に神社が?
海水浴場の裏山にある駐車場にポツンと立つ神社への入り口
入口から神社までは、山道を下って5分ほど
神社に向かう途中、岬側から望んだ一湊の湾。思いがけなく絶景が広がる
一湊のシンボルとも言える赤い鳥居をくぐり、本殿がある洞窟の中へ
洞窟内の花崗岩からは水がしみ出しています。手水舎の水もこの湧き水が使われているのだそう
洞窟の奥、拝殿の裏に白い本殿が建つ
地元の子供たちが、貝殻に願い事を書いて奉納していた 

はまゆうの丘

「はまゆう」に特別な思いをもつ美大生・SAKIの希望で寄ってもらった休憩所。
残念ながら期待していたはまゆうの群生はなかったけれど、一湊の海が見渡せる展望所がありました。

ナゾの窯場の屋根下でひと休み
展望所からは硫黄島、竹島、開聞岳が一望できる

屋守人園(やまとえん)*観光スポットではありません

吉田集落に向かう途中、田口オーナーが親しくしている農園に案内してもらいました。
県道を外れて細い道を車で5分、360°広大な森林に囲まれた中に「屋守人園」はあります。

屋守人園」は、無農薬、有機栽培のパッションフルーツを始め、季節の野菜、シイタケの原木栽培や養蜂など、幅広く手掛けている農園です。

「こんにちは~!」と声をかけると、中から園主の神宮司さんが出てきてくれました
奥のハウスでパッションフルーツを育てています

園主の神宮司守昭さんは屋久島出身。
九州本土で通信企業に勤務し、定年退職後、故郷屋久島に戻ってパッションフルーツの生産を始めたのだそう。

かたや、宿のオーナー田口滋さんは東京都出身。
都内でIT企業に勤務後、屋久島に移住し、ゼロから民宿の経営に挑戦しています。

その生き方にどこか重なるところがある二人は、「まだまだやりたいことがたくさんある」と口をそろえます。
人生後半の生き方を模索している風月も、二人の話に興味深々。とてもいい刺激をもらいました!

神宮司さん(左)の事務所にて。久しぶりの来訪だという田口オーナー(右)と話がはずみます
階段に貼ってある数字は神宮寺さんの御年齢。2階に届くまでは農業を続けたいとのこと…って、いえいえ、3階、4階まで続けてください!
パッションフルーツは夏に旬を迎えます
大根を抜かせてもらうSAKI。大根は持ち帰り、宿の夕飯に出していただきました。ごちそうさまです!


「屋守人園」の名前の由来を聞きそこねたのですが、「屋久島を守る人」というイメージがぴったりの神宮司さん。とても楽しそうに農業にとりくんでいる姿が印象的でした。
突然押しかけたにもかかわらず、心よく対応してくださってありがとうございました!

~追記~
屋久島から帰宅後、闘病生活が始まった風月の元に、なんと神宮司さんからのお見舞いが届きました(T_T)!

旬を迎え、収穫したてのパッションフルーツ
果実で食べるのは初めて。十分熟すとほとんど酸味がなくなり、甘くて美味しい!

屋久島の人情の厚さに元気をたくさんもらいました。
ありがとうございました<(_ _)>。

吉田集落・日高神社

一湊集落のお隣にある吉田集落は、宮之浦から西へ約15㎞、約210人ほどが暮らす小さな集落。
平家の落人である平清房らが上陸して吉田城を築城したと伝えられています。
平成14年、NHK朝の連続ドラマ「まんてん」のロケ地として全国に放映され、海上に沈む夕日の絶景は観光スポットとして有名になりました。

*林野庁屋久島森林生態系保全センター発行「洋上アルプス」より抜粋

吉田集落の中でも、「森と植物を愛する娘・SAKI」のために田口オーナーがセレクトしてくれたスポットが「日高神社」。
山の中腹、森の奥にひっそりと建つ、平家の落人を弔う神社です。

海岸沿いの県道から細い道に入る
山道の途中にある赤い鳥居が、ここが「参道」であることを示している
山道…いえ、「参道」にそびえる屋久島らしい巨木
うっそうと茂る深い森の奥に祠が見えてくる
森の奥の小さな祠は、集落の人々の手によって丁寧に安置されていた

日高神社は、屋久島に逃れた平家一族の中にいた日高阿波前司吉房が建立したと言われており、今でも吉田集落には日高姓の方が多いのだそう。
ご先祖様を大切に敬う集落の人々の思いが伝わってくるパワースポットでした。

永田いなか浜 ~ウミガメの産地

海岸線へ戻り、ウミガメの産地として有名な砂浜がある「永田集落」へ向かいます。

「永田いなか浜」には、奥岳から永田川の流れにのって運ばれてくる花崗岩が風化し堆積した真っ白い砂浜が、800mにわたって続いています。
絶滅の危機に瀕しているウミガメの産地として、ラムサール条約にも登録されているウミガメの聖地。
5~8月にかけて、北太平洋一円を回遊してきたアカウミガメ、あおウミガメがこの浜に上陸し、産卵します。 

産卵は、観察会に参加して、ルールを守って見学しましょう。
http://nagata-umigame.com/

昔から海の神様(=ウミガメ)とともに生きてきた永田集落の人々。近年はウミガメ保護を目的に観察会を開き産卵や孵化を見守る活動に力を入れている
水平線に浮かぶ口永良部島の島影。夏には島の右側に、冬には左側に美しい夕日が沈む

横川渓谷(よっこけいこく) ~教えたくない超穴場スポット

田口オーナーが昼食の場所に選んでくれた場所は、永田集落の県道から車で10分ほど入った「横川渓谷」。
ガイドブックにもあまり紹介されていない場所なので風月たちもノーマークだったのですが、ここが衝撃的に美しい渓谷でした。

横川渓谷」は、県道から車で10分、永田岳を源流とする永田川にある美しい渓谷です。

駐車場から渓谷までは森の中を散歩しながら5分ほど
突然目の前に現れる渓流。白い花崗岩の間をぬって清流が流れ落ちてる

折り重なった巨大な白い花崗岩の間をすり抜けるように流れる清流は、エメラルドグリーンから深緑へと表情を変え、息をのむ美しさ。
一瞬、異世界に入り込んだかのような感覚におちいりました。

白い花崗岩と半端ない透明度のエメラルドグリーンのコントラスト
大きな花崗岩の一枚岩の上でお昼休憩。田口オーナーのとっておきのお昼寝場所でもあります


この日はツアーの団体さんが来ていたけれど、通常はあまり知られていない静かな穴場なのではないかと。
「すっごく素敵な場所があるよ!」と紹介したい半面、あまり有名になってほしくないような、複雑なキモチです(^^;。

ちなみに花崗岩は滑ります
風月はトレッキングシューズだったにも関わらず、マンガのように「すってん」と転んで、腕に巨大な「コブ」を作りました。よく骨折しなかったもんだ。
半泣きで「なにやってんの~( ;∀;)」と怒る娘・SAKI。はいはい、気をつけます。
夏場は子どもたちの格好の水遊び場となるそうですが、くれぐれもご注意を。

横川渓谷の清流で魂を清めた後、いよいよ西部林道に入ります。

西部林道の手前の県道沿いで白サギの群れに遭遇

西部林道 ~ヤクザル・ヤクシカに会える世界自然遺産エリア

西部林道は、屋久島の西側、永田集落~栗生集落を結ぶ岸沿いの、照葉樹の原生林を走る県道。 
全長約20㎞のうち、北側の屋久島灯台入口付近から瀬切大橋までの約15kmの部分が世界自然遺産に含まれているエリアになります。 
17:00~翌朝7:00までは通行止めになり、携帯電話の電波が届かない場所もあるので、時間に余裕をもって行程に組み入れるようにしましょう。 

道幅がせまく車がすれ違うことはできないので、対向車が来た時は退避スペースを利用するしかありません。 
崖側をさけて山側に退避するためには、永田方面(北側)から入って栗生方面(南側)に抜けるのがおすすめだそう。 
だとしても、この道をバックするなんて風月にはとても無理( ;∀;)。
あらためて、田口オーナーの神対応に感謝です!

安心して田口オーナーの運転に身を任せ、わくわくしながらの西部林道。
ほどなく、ヤクザルの群れに遭遇しました。 

道路一面に寝転がってひなたぼっこ。毛づくろいをしている彼らは、車が近づいても全く動じません。 
が、ここで間違ってもクラクションなど鳴らさないように! 
ゆっくりゆっくり近づいていけば、そのうち「めんどくせえなあ」とつぶやきながら(?)も、重い腰をあげてくれます。 

彼らにとって人間は敵ではないと認識されているのですね。 
しかし、だからといって、餌を与えるのもNG! 
一度でも人間の食べ物の味を知ってしまったら、彼らはそれを要求して襲ってくるようになり、均衡は保たれなくなります。 
屋久島では町の条例で餌付けは禁止されていますが、ヤクザル、ヤクシカに限らず、野生動物にエサをあげるのは絶対にやめましょう。 

毛づくろいをしながらも、親ザルはじっとこちらを警戒している

山側に目を凝らすとヤクシカの群れにも出会えます。

ヤクシカは成長しても体重30~40kgほどにしかならず、ニホンジカの亜種としてはかなり小さめ

屋久島では古来より「山岳信仰」があり、ヤクシカを神々の使いとして接し、共存してきました。
なので、彼らも、人が近づいても逃げるそぶりを見せません。
この信頼関係を尊重し、驚かせないようにそっと観察しましょう。

ひょっこり飛び出してきた子ジカ! 徐行必須です

ヤクシカに気をとられて山側ばかり見ていたのですが、ふと海側に目を向けると、青く輝く南シナ海の絶景が!

高所恐怖症の風月はあえて崖下には目を向けず、遠く水平線を望む

左は照葉樹林がうっそうと茂る奥深い森林、右は花崗岩の切り立った断崖と限りなく広がる大海原。
その間を走る西部林道は、世界遺産にふさわしい手つかずの大自然の中にありました。

大川(おおこ)の滝 ~屋久島最大級・圧巻の迫力

念願の西部林道を抜け、島の南西に位置する栗尾集落に入ります。見どころはなんといっても、屋久島の中でも最大級の「大川の滝」。

大川の滝」は九州一の落差88mを誇り、日本の滝100選にも選ばれている屋久島最大級の滝。 
遊歩道が整っていて滝壺のすぐ真下まで歩いて行けるので、豪快な音と共に流れ落ちてくる水しぶきを浴びることができます。
雨天のあとはさらに水量が増し、二筋に分かれて落下する落水の流れがひとつになり、迫力満点になるのだそう。

駐車場の入り口から滝までは4~5分。水量の多い日はここまで水しぶきが飛んでくるのだそう
滝つぼの近くに行くには大きな岩を登らねばならず、高所が苦手な母・風月は下から見上げるだけで精一杯
田口オーナーが岩の上からSAKIを撮影。このショットだけで風月は足がすくむのだけど(^^;
娘・SAKI「気もちいいから母も登っておいでよ!」
母・風月「早く降りといで~~」

この迫力でもこの日の水量は少ないというのだから驚きです。

滝の周りは堆積岩が熱変成してできたホルンフェルス(熱変成岩、接触変成岩)と呼ばれる岩石で成り立っています

壮大な自然の中でマイナスイオンをたっぷり浴びてきました!

石楠花(しゃくなげ)の森

大川の滝がある栗生川の上流沿いにある「石楠花の森」が、この日最後のスポットになります。

「石楠花の森」は、栗生川の上流にある小揚子川沿いを散策できる遊歩道。 
110種類、約3500本の「セイヨウシャクナゲ」が植えられ、4月上旬から赤、ピンク、白色の花が公園のあちこちで咲き誇ります。
また屋久島の高地に生息する島の固有種である「ヤクシマシャクナゲ」が、少し遅れて4月中旬~下旬頃に見ごろを迎えます。

品種改良の母種としてイギリスに渡った「ヤクシマシャクナゲ」の子孫たちが里帰りしてきて、この森を形成しているらしい
訪れたのは4月4日。「セイヨウシャクナゲ」が見ごろを迎えていた
シャクナゲのシーズンでなくても、川底まで透き通った小揚子川の清流は一見の価値あり

田口オーナー曰く、「『千と千尋の神隠し』に出てくるシャクナゲのシーンは屋久島に違いない!」
というわけで、千尋になりきる娘・SAKI
一般的にシャクナゲは、蕾のうちは濃いピンク色だが、開花するにつれ退色して淡紅色から白へと変化するのだそう

地魚料理「若大将」~教えたくない人気店

盛りだくさんの屋久島一周ドライブ。最後のお楽しみは、宿へ帰ってオーナー夫人ひとみさんと合流してからの、地魚料理「若大将」
先日訪れてすっかり魅了されてしまったこの店に、もう一度、しかも田口夫妻と一緒に来ることができるなんて(≧▽≦)!

「いらっしゃ~い!」と気っ風のいい大将の声に迎えられ、今が旬の新鮮な海の幸を堪能。
屋久島に移住してきた理由のひとつが屋久島の焼酎「三岳」だという田口夫妻は、自他とも認めるお酒好きの江戸っ子。
宿のオーナーという枠をこえて、仲間として、家族として接してくれました。
ここで過ごした時間を忘れるほどの楽しいひとときは、今でも思い出すだけで元気をもらっています。

田口夫妻、大将、スタッフのみなさんと

屋久の宿「たぐち」に帰宅後、庭から流れ星☆彡を見ました。
願ったことは、この出会いに心からの感謝をこめて

「またここに来れますように」。

忘れられない一日を、本当にありがとうございました。

Dear Sigeru Taguchi 
   Hitomi Taguchi

We dedicate this series to you with a lot of gratitude and dearness.

From Megumi & Saki

屋久の島「たぐち」の予約はHPからもできます⇩
屋久の島「たぐち」

次の日は再び白谷雲水峡へ。前回周れなかったコースを周ります。
白谷雲水峡/奉行杉コース

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【屋久島春の母娘二人旅】

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