春の屋久島母娘女子旅5日目。
この日は朝からしとしとと霧雨が降っていたけれど、こんな日こそ、歩道が整備されたルートもある「ヤクスギランド」へ!
霧にけぶる幻想的な森の中で、何千年もの間悠然と存在してきた樹木たちに会いに行きました。
さらに「屋久杉自然館」で屋久杉の歴史とメカニズムを学び、「にわか屋久島オタク」の仲間入り。

朝は宿(宮の浦)でゆっくり過ごし、10時頃出発。
途中のスーパーで昼食のお弁当を調達して、お昼前にヤクスギランド入口に到着しました。
ヤクスギランド
https://y-rekumori.com/
安房から車で40分
宮之浦から車で1時間15分
ヤクスギランドは、標高1000m~1300mに広がる自然休養林。
台風などで倒れた倒木や伐採後の切り株などから次世代が育った「更新樹木」や、樹木が重なり絡まりあって合体した巨木たちが、圧巻の生命力を見せつけてくれます。
悠久の時間の中で繰り返されてきた森の生命の営みが凝縮されたヤクスギランド…「ランド」という楽しげで軽いネーミングは、いい意味で裏切られます。
肌で空気を感じ、耳をすませながら、じっくり「屋久島」の魅力を味わいに行こう。

ヤクスギランド内には5つのコースがあり、30分コース、50分コースは歩きやすい遊歩道が整備されていますが、80分コース、150分コース、210分コースは少し険しい登山道もあり、それなりの装備が必要。
できれば150分コースを周りたかったのだけど、この日は雨天で足元が滑りやすくなっていたので、無理せず80分コースを周ることに。
管理練
トレッキングのスタートは管理練から。
ここで500円の協力金をおさめてパンフレットをもらいます。
ルート内は150分コースの携帯トイレブースしかないので、必ずここですませておこう。


入口を入ってすぐ、入場ゲートのような「くぐり栂(つが)」がお出迎え。
くぐり栂(つが)
国内最大級の栂の樹。
幹周り910cm、樹高23m、国指定特別天然記念物。
これが空洞となった栂の「根本」部分だということから、その巨大さがわかります。

苔むした樹木の中、整備された木道が続きます。



林泉橋
うっそうとした森林の中へ続く、荒川の清流にかかる最初の橋が見えてきます。

切り株更新
栄養分の少ない花崗岩でできた屋久島の森では、伐採された切り株や倒木を栄養にして次世代が育つ「切株更新」「倒木更新」の2つの方法で世代交代が行われています。
整備された歩道からも圧倒的な生命力の源を存分に観察することができます。

土埋木
江戸時代に伐採され、利用されずに放置された屋久杉の枝や株は、樹脂を多く含んでいるため200〜300年たった現在でも腐ることなく残っています。
これら「土埋木」は、今では工芸品等に利用されているそうです。


霧が濃くなってくると、新緑と苔に覆われた緑道が、より神秘的な漆黒の森へと変化していきます。



千年杉
薄暗い森の中で、光を求めるかのようにまっすぐに天高く伸びる千年杉。
他の樹木が着生してすっかり苔むした堂々とした姿ではあるけれど、コブや皴はあまりなく、年齢不詳…いえ、樹齢不詳。
命名通りの千年ならかなりのお歳であろうが、この若々しさ。ぜひ秘訣が知りたい。


荒川橋まで、光がほぼ入らない幻想的な漆黒の森が続きます。

荒川橋
80分・150分・210分コースはこの吊橋を渡り、この先は登山道になります。


さらに少し進むと80分コースの分岐点があり、ここからつつじ河原へ。

このあたりの倒木は、台風による山くずれによるもの。
倒木には新たな芽が息吹き、ここからまた世代交代が始まっていきます。






渓流の音が聞こえてきました。
苔の橋
橋自体はそんなに苔が生えているわけではなく(笑)、橋の周りの岩場が苔むしています。

つつじ河原
天気がよければ川のせせらぎを聞きながら岩場でひとやすみできる休憩スポット。
5~7月はヤクシマヤマツツジ、サクラツツジが咲き誇ります。

渓流沿いは苔むした登山道が続きます。



同じ渓流沿いでも、途中からはまたうっそうと絡みあう樹木の森へと表情が変わっていきます。



沢津橋
吊橋を超え、ここから80分ルートの帰路につきます。

このあたりは整備されていない登山道が続きます。
ピンクのリボンを目印に、ルートを外れないように進もう。

仏陀杉
樹高21.5m、胸高周囲8.0m、標高1,010m。
ヤクスギは、花崗岩の土壌、高温で多雨多湿な気候という屋久島特有の環境の中、防腐剤の役割を果たす樹脂をたっぷり蓄えながらゆっくり時間をかけて巨樹に育ちます。
薄暗い森の中に悠然とそびえる仏蛇杉は、樹齢1,800年と推定されています。



仏陀杉を過ぎると、50分コースの整備された歩きやすい歩道と合流。
苔むした新緑の森を抜けていきます。







10分ほどで、30分コースと合流。

くぐり杉
樹高25.7m、胸高周囲3.2m、標高1,010m。
上方の屋久杉が倒れ込んで2本が合体しています。

最後の吊橋・清涼橋を通り、14:00ちょうどに駐車場着。
この日は天気があまりよくなかったこともあり、ほとんど人に出会わず、ほぼ貸し切り状態でした。
おかげで80分コースを、ゆっくり2時間かけて周ることができました。
縄文杉トレッキングや白谷雲水峡に観光客が集中する中、ヤクスギランドは穴場スポットと言えるかもしれません。
ただし…ここでもネックになったのが、風月の「高所恐怖症」と「運転苦手症」。
県道~ヤクスギランド入口までの山道は、整備されているとはいえ、すれ違いができない細い道もある崖道。
濃霧の中、山道の途中にある屋久杉自然館までは、風月にとっては絶望的なドライブコースでした(T_T)。


通常の3倍の時間をかけたのろのろ運転で、なんとか「屋久杉自然館」に到着。
屋久杉自然館
屋久島町 「屋久杉自然館」
http://www.yakusugi-museum.com/
安房から車で5分
入館料 大人600円
屋久杉や森林の植生だけでなく、屋久島の歴史、森と人々との関わりなど、屋久島の様々なことが学べる屋内施設。
まずはここで屋久島の知識を身につけてから臨めば、同じトレッキングでも数倍は充実したものになることは間違いなし!
ところがこの屋久杉自然館は、「縄文杉トレッキング」の拠点となる荒川登山バスが発着している施設にもかかわらず、往復10時間かかるトレッキングの当日は立ち寄ることができないのです(^^;。
縄文杉トレッキングとは別日の行程に組み込んでおきましょう。特にヤクスギランドとはセットで考えておくのがおすすめです。


屋外展示コーナー
屋久杉自然館は、屋外にも展示コーナーがあります。




エントランス・1~2Fギャラリー
靴を脱いで入館すると、栂の角材がはめこまれている床がカタカタと鳴るのがなんとも心地いい。
建物やテーブル、椅子などの木材は、屋久杉や栂が惜しみなく使われています。
エントランスにある「いのちの枝」は、2005年に大雪の重さで折れた縄文杉の枝。
メイン展示なのになぜか画像が残っておらず(>_<)、パンフレットをご参照ください。
館内は、特別展が開催されるギャラリーの他、実際に触ったり匂いを嗅いだりできる体験コーナー、ジオラマや当時の写真や映像を駆使した多彩で迫力のある展示などが満載。
約1時間ほどで、飽きることなく楽しめました。
撮影OKだったので、一部ご紹介します。

奥の映像コーナーでは、昭和30年代から現在に至るまでの林業の歴史を紹介


実際に持ち上げてみることができる




展示を通して一番興味深かったのが、「屋久島の歴史」。
世界遺産となる500年も前から、ここには森林を伐採しながら生計を立ててきた人々の暮らしがありました。
大正12年の小杉谷製品事業所の開設から昭和45年の閉山まで、半世紀、三世代に渡って栄えた小杉谷・石塚集落を中心に、森と人々との関わりが紹介されています。


また、この期間中は
小杉谷閉山50周年記念特別展
「小杉谷・石塚 ~森と人々の記憶~展 」
が開催されていました。


下記は、屋久杉自然館HPにおける、この特別展の紹介文からの抜粋です。
「この島は、はるかな昔から人々の魂を揺さぶりつづけ、近世森林の保全と活用で人々が苦しみ葛藤した島である。」
―屋久島憲章より―
保全か活用か、これは屋久島で永きにわたり提起され続け、今なお議論され続ける課題です。
山で生計を立てた男達とその家族が山に生きた証の場所である小さな集落の生活史。大正、昭和、戦中戦後の混乱の中、国有林開発の火を絶え間なく燃やし続けた人々の歴史を、当時の貴重な映像や写真、人々の記憶とともに振り返ります。
シアタールーム
自然パノラマ館の1Fにあるシアタールームで放映されている「映像で見る 小杉谷・石塚」は必見。
最盛期には500人も暮らしていたという、小杉谷の屋久杉伐採基地。
屋久杉を切り出す迫力の伐採シーン、トロッコによる搬出、集落の生活など、NHK「新日本紀行」をもとに制作された貴重な映像です。
後日風月たちも挑戦した「縄文杉トレッキング」は、この小杉谷を通るルート。
トロッコ道を歩き、集落の小・中学校跡地を通ります。屋久杉の伐採が禁止され、世界遺産として登録され、世界的な観光地となった屋久島。
それに翻弄されてきた人々の暮らしに思いを馳せながらのトレッキングになりました⇩。
縄文杉トレッキング
とても濃い一日を過ごし、気が付いたら霧雨で全身じっとり、お腹すきまくり。
宿「たぐち」に戻ってからのお風呂と夕飯が、疲れた身体に染みわたりました。

明日はちょっと一休み。宮之浦周辺をのんびり周ります。
⇒ 宮之浦周辺観光スポット
屋久島旅行記 トップ(目次)はコチラ
⇒ 【屋久島春の母娘二人旅】
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